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アスティお母さん旅立つ

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9月13日にイランからカリムお母さんの訃報が届きました。あまりにも急なことですぐには状況が理解できず。とりあえず午後からの仕事を休ませてもらって、午後にカリムの兄妹達と集合。前日夜中に急な胸の痛みを訴え、病院で心停止となりそのまま帰らぬ人となったそうです。
ダイアスティ(イランではお母さんをダイアといい、アスティお母さんはみんなからダイアスティと呼ばれていました。)に最後にお会いしたのはこの夏7月のこと。みなが反対するのを押し切って、久しぶりにスウェーデン来訪を実現させました。愛する息子、カリムが買った家を一目見るのも目的の一つ。引っ越したばかりで、家具も揃ってない状態での出迎えになりましたが、苦労の多かった息子が立派な家に住むようになったと、本当に嬉しそうでした。私たちは結婚もしてないし、子供もいないから、マイホーム購入がお母さんにとっては息子をお祝いすべき大イベントだったのでしょう。
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ダイアスティは亡くなる数時間前まで、家族や親戚と集まり、楽しい時間を過ごしていたとのこと。病院での時間も数時間。苦しむ時間が短かったのが家族にとっては救いでした。

振り返ると、私自身はお母さんと過ごした時間は本当に限られたもので、最初は1998年夏、イギリス留学中にブライトンからストックホルムに飛んで、スウェーデン来訪中のご両親にカリムの彼女でーす。と挨拶をしたとき。いきなり抱きしめられて、両方の頰にキスをされたのが衝撃でした。アメリカのホストファミリーのお母さんを思い出す瞬間でした。そのあと2回ほどこちらに来られて一緒に過ごしたくらいです。それでも、私のことはとても可愛がってくれて、片言のクルド語しか話せない私にイランからかけた電話に出ろといい、たくさんの言葉でいつも挨拶してくれました。内容は全然分からなかったけど、思いは十分伝わりました。笑

イランでは人が亡くなると、24時間以内に葬儀、埋葬するのが決まりです。なので、イランでのお葬式は翌日にすぐ行われました。
そして、こちらストックホルムでもイランに帰ことができない息子、娘たちがレストランを借り切って追悼式を開きました。
驚いたことに、100人を優に超える方々がストックホルムから、ヨーテボリから、遠くはノルウェーからも挨拶に来てくださいました。
数日間、イランからもお悔やみの電話がかかってきたり、身近な家族の死に接する親戚、友達と悲しみをしっかり分かち合おうとするこの文化に心が温まる思いでした。もちろん、出かける方は大変なんですけどね。私もしっかり親族チームと一緒に次々と来訪する弔問客を握手で出迎え、知ってる人も知らない人にも挨拶をしました。追悼式はだいたい1時間ほど座って退場するというのが多いですが、今回は湖の側の景色のいい素敵なレストランだったせいか、来る人来る人すっかり落ち着いてしまって、久しぶりに再会した他の仲間や友達との話に盛り上がったりと、ほとんどの人が残ってしまい、椅子が足らない状況に。追悼式がなければ何年も会うことがなかったような人との再会の場にもなって、私も懐かしい人々と話をすることができました。

さて、最後にダイアスティのお話しに戻りますが、カリムの話によると、子供の頃は、カリムパパの両親、アスティのお母さんも同居していた時期があり、最大で12人家族だったそう。貧しく決して広くない家に12人。冷蔵庫もオーブンもない台所で、毎日大量のパンを焼き、料理を作り、洗濯をし、病弱な親の介護もし。と想像を絶するような家事労働の日々だったそうです。それでも、そのことについての愚痴を聞いたことがないとカリムは話していました。当たり前だと思っていたのか、当時はどこでも女性はそういう状況に置かれていたからなのか、ご本人に聞いたことがないのでわかりませんが、自分のことだけでもヒイヒイ言いながら暮らしている自分のことを思うと、ダイアスティの懐の大きさは神レベルです。

好奇心旺盛で、お茶目な性格だったダイアスティさん、たくさんの子ども、孫に見送られてこの世を去りました。
これからもカリムとダイアスティとの思い出をいろいろ語っていきたいと思います。
安らかにお眠りください。
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by tsumugu-img | 2016-09-25 02:49 | クルドな人々 | Comments(0)

2004年にスウェーデンに移住。イギリス留学中に出会ったクルド人とストックホルムで暮らしています。ブログの内容はスウェーデンのことに限らず、クルド人家族のこと、スウェーデンから見た日本などいろいろです。苦労して行き着いた今の職業は看護師。日々の生活の中で感じることを自由気ままに発信しています。


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